豆知識

ハートニュース

HOME > ハートニュース > ハートニュース

血液検査で知る心臓の機能

血液検査で心臓の調子を知ることができる項目があります。
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、心臓に無理がかかっていたり、傷害があったりすると数値が上昇するので、心臓病や心不全を把握することができる、心臓のバイオマーカーです。

犬に多い心臓病である僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁の逆流があるので心臓から全身へしっかり血液を送り出すことができません。血液が心臓内にうっ滞しています。心臓内に多量の血液が充満している状態を「容量負荷がかかっている」と呼んでいます。左心室から大動脈へスムーズに血液が流れず、左心房に血液が逆戻りした病態が進んでいくと、左心房には高い圧がかかることになり、次第に左心房は拡張していきます。左心房圧が高まると肺動脈にも同じように圧力がかかるようになります。
胸部レントゲンによる心臓の検査は、こうして拡張した部分が心臓の陰影で膨らんでいるのを確認します。心臓超音波検査は僧帽弁の逆流している様子をリアルタイムに見たり、左心房のサイズを測定したり、流速の波形からどのくらい圧がかかっているのかを知ります。
ANPは左心房や肺動脈の圧が上昇すると、同じように上昇します。それも重症度と一致して上昇します。おおよその目安として、診断基準値(これ以上高いと心臓病の心配があります。これ以下なら大丈夫でしょう、とする数値)は25pg/mlです。そして、100pg/mlを越えるような数値が出れば重篤な心不全の兆候である肺水腫になってしまうリスクが高いということもわかっています。そして治療により心臓の負荷が抑えられていると、数値は低下してきます。つまり、うっ血の兆候を知ることもできるし、病態によって上下するので、治療効果もこれによって判断することができる検査です。

心臓病が気になる高齢の小型犬さん、春の健康診断で基本の検査にANP検査を加えてみてはいかがでしょうか。

ご相談・お問い合わせはこちら