猫を美容院にお願いすることはあまり聞かれません。
長毛種の猫にできた毛玉は、根元からひとまとまりになっていて櫛ではとけず、バリカンをかけなければ処理できなくなっています。多くの猫は振動や音のため、バリカンが大嫌いです。また、すでに毛玉ができているということだけでも皮膚が引っ張られて痛みも出ています。そこに処理をしようとしても猫は抵抗するばかりですから、予測不可能な動きによって簡単にバリカンの刃による二次的な皮膚の損傷を起こしてしまいます。それで猫は毛を処理するときには全身麻酔が必要になってきます。どくりつした美容院で猫の美容をしていないのはそのようなりゆうによることが 多いかと思います。(動物病院に併設された美容院では猫の扱いのあるところもあります。)しかし、毎年猫に全身麻酔をかけて被毛の毛刈りをするのには抵抗があります。また、麻酔をかけずに刈れても、加齢により猫の皮膚が薄くなっていますから、バリカンの刃に当たりやすくなっていきます。
長毛種の猫では、念入りな日常的な手入れは不可欠です。毛を刈らなくても毛玉ができないようなグルーミングを行ってください。
短毛種の猫でも、季節の変わり目には抜け毛が目立ってきます。一年のうちでも換毛期にはグルーミング回数を増やしてください。
高齢の猫で、甲状腺機能亢進症がある場合や、口内炎などでお口が痛いとき、かんせつしょうがあり、痛みのために若いときのようなアクロバティックな姿勢をとることが難しく、毛繕いが不十分になっている猫では、猫の代わりに飼い主さんがグルーミングを行ってやってください。
それから、巨大結腸症がある猫では、グルーミング過度により、毛球症を併発し、ウンチがフェルト状の毛玉でできあがってきて、いつも以上に排便困難になってしまうことがあります。このような猫でも飼い主さんがグルーミングを手伝っていつもよりお手入れをまめにしてもらえると良いと思います。