犬はまぶたを閉じるとき、上と下からまぶたが合わさるようになっています。実は目頭からも眼瞼が出てきます。目頭から出る膜は、第三眼瞼とか瞬膜といわれていますが、目を閉じるときには目の中に収納され、普通見ることはありません。猫も同じです。
この第三眼瞼が脱出して目の前に現れることがあります。赤くぷっくりした第三眼瞼の脱出は「チェリーアイ」というかわいらしい名前がついています。
好発犬種があります。コッカスパニエル、ビーグル、ペキニーズ、ボストンテリア、フレンチブル、シーズなどがそうです。
1歳未満で発症することが多く、はじめは片方だけですが、少しすると両目ともに出てきます。発生の原因は、目のくぼみに第三眼瞼を固定させる組織の発達が不十分なことなどです。
露出した部分に抗炎症薬の点眼液をさしたり、脱出部の裏に綿棒をさしたりして納めることができたとしても、ほんの一時的なことにすぎません。やはり手術が完治の早道です。
もし成犬になってから発症したのであればすぐに手術を行います。まだ小さくて全身麻酔を考慮しなければいけないというくらいの月齢の子犬の場合は、4か月齢から5か月齢くらいまで点眼薬でコントロールし、その後手術を行います。
第三眼瞼は涙を目全体に行き渡らせ角膜を保護する役割があります。第三眼瞼の突出により、眼瞼が閉じ切らず目が開いたままになっていると角膜が乾燥してしまい、乾燥性の角膜炎委なることがあります。また出っ張った部分を気にして犬がかくと、角膜を傷つけてしまうこともあります。適切に治療することをおすすめします。