のどの渇きが増して過剰な水分を摂取することを「多飲症」、大量の尿が作られて排泄される状態を「多尿症」といいます。たいてい多飲症と多尿症は同時に発生します。
からだの水分は脳と腎臓のやりとりで一定になるような仕組みができています。水分不足になったときには脳下垂体から抗利尿ホルモンの分泌が増え、腎臓に働きかけ、水分の再吸収が抑えられ尿が作られるのが抑えられています。こうして脱水にならない様な仕組みが働くのですが、抗利尿ホルモンが十分に分泌されないとか、このホルモンに対する反応がうまくいっていないときは尿の濃縮が妨げられて多尿になります。
生理的な多尿は沢山飲んだあとの正常な反応です。病的な多尿は身体のどこかに病気があって発生しているか、脳の障害のために発生しています。病気があるのに知らずに多尿になっていて、水分摂取が追いついていないと、脱水は重度になりますから、「飲み過ぎている」からといって飲水を抑えるようなことをしてはいけません。
多飲症や多尿症を疑う場合は、まず尿比重の検査を行います。そのほか、病気を示す徴候がないか、血液や尿の他の検査、画像の検査などを行い、場合によっては内分泌の詳細な検査に入ります。
「ちゃんと飲んでいるはず」ではなく、正確な飲水量をチェックすることは非常に大切です。多飲症や多尿症のある犬は熱中症のハイリスク犬の仲間です。