本来、尿中に出てくるはずがない蛋白が出現するのがタンパク尿です。
タンパク尿は腎臓以外の所からも出現するため出どころを確認する必要があります。またタンパク尿を定量化する検査UPCで詳細を確認します。
多量のタンパクが尿中に流れ出てしまうと、体内で蛋白が減少してしまうことがあります。流れ出る蛋白の中心はアルブミンですから、血液検査をすると低アルブミン血症になっていることが確認されます。アルブミンは血液のボリュームを維持する仕事も請け負っているため、アルブミン値が低下すると血管から液体成分が漏れ出し、腹水や浮腫(むくみ)が発生してします。またアルブミンは薬やホルモン、そのほかの物質の運搬役としての仕事もしているので、身体に無数の変化を起こさせる可能性があります。
尿中に蛋白を出す疾患は総称して「タンパク喪失性腎症」と呼ばれます。尿検査、血液検査に加え、血圧測定、画像検査で基礎的な問題を抑え、可能であれば麻酔下で腎生検を行います。腎生検は腎臓に太めの針を刺して組織を採取し、固定後染色し光学顕微鏡で観察するほか、免疫染色を施して検査をしたり、電子顕微鏡を使って微細構造を観察するなどがセットになった検査です。この検査結果から、病理学的な「形態学的診断名」が付き、免疫に関与する病気かどうかの区別により、治療薬が変わります。
治療目標はUPCを可能な限り下げることです。タンパク尿が出ることそのものが腎臓を痛めてしまうからです。