
猫は口唇の垂れた犬とは違い、通常で涎(ヨダレ)を流すことはありません。猫が顎を掻いたり、横になって寝ていた後で湿った部分を見つけるなどがなければ、猫が涎をたらしていることに気付くこともないでしょう。口周りに黒い汚れ(乾いている)のはわずかな涎が発生した印です。
猫が過剰な涎をたらす理由はいくつかあります。
最も多いのは口内炎です。それは歯科疾患に関連する場合も、歯科とは関係なく発生している場合もあります。3歳以上の猫の85%は歯や歯ぐきの問題を持っていると言われています。このときのヨダレは血が混じっていたり不快な匂いがします。
次に多いのは口腔内の感染症で、口の内に潰瘍ができた場合に唾液の分泌量が増えます。カリシウイルスで舌に潰瘍ができるのは多いです。
口腔内腫瘍によるよだれは歯の問題やウイルス性の感染症よりも頻度は低いのですが、あまり知られていないだけで、舌や口腔粘膜にも腫瘍は発生します。
異物という可能性もあります。猫は長い草の葉、糸の付いた縫い針、魚の骨等を呑み込んで(正確には舐めながら口に中に入れてしまい)それが口腔内にとどまっていることがあります。
恐怖と不安でも涎を垂らすことがあります。嘔吐に先立つ吐き気も涎を垂らす原因になります。
まれに喜んでいながらリラックス状態で涎を垂らす猫がいます。撫でられたり抱かれたりしながら流涎するは幸せな猫です。