「病気になってしまってから病気を治すより、病気になりにくい身体をつくり、病気を予防して健康を維持する」という考えに基づいて、私たちは動物の健康増進をはかるお手伝いをしています。 予防医学に習って、3つに分類しました。
健康な時から栄養や運動に気を配り、生活習慣の改善、生活環境の改善を通して病気にならない強い身体をつくります。
ワクチン接種による感染症予防、フィラリア予防薬の投与、ノミやマダニの駆除剤による外部寄生虫の予防は主だった予防としてよく知られています。またこれらのほかに病院がお手伝いすることのできる病気予防として、避妊手術や去勢手術を行うことがあります。不妊手術は望まない赤ちゃんの誕生をコントロールするという目的以外に、将来的に予防することができる病気がたくさんあります。幼いうちに不妊手術を行うことも一次予防として有意義なことです。
ご家庭でできる病気予防もたくさんあります。
生活環境を整えること、バランスのとれた食事、適切な運動、日常の衛生習慣、しつけや社会化、定期的な美容などです。
病気の発生を早期に発見し、早期に治療に入り、病気が重症化するのを防いだり、進行するのを抑えたり、合併症の発生を阻止するのが2次予防です。
これには定期的な健康診断が欠かせません。幼少期であれば遺伝性の疾患を発見する手立てになりますし、中年期なら肥満症や歯周病などの生活習慣病を、高齢期には心臓病、腎臓病、高血圧症、内分泌疾患などが腫瘍発見に並んで発見したい病気群です。
しかしもっと大切なのは、発見後、どう病気と向き合っていくかということです。結果に基づいてアフターケア管理、フォローアップの治療を行わないと、せっかく発見してももったいないことになってしまいます。
不幸にして病気になってしまってからも、今後の再発を予防することは大切です。一時的に機能が低下してしまった状況からでもリハビリテーションによって、機能を回復しQOLの高い生活を得ることができます。関節症などの進行性の病気になっても、それなりの治療を施すことで動物が寝たきりにならないようにするのは3次予防になるでしょう。
いつまでも健康で長生きして欲しい。そのための高齢犬や高齢猫のケアについても考えています。