地域猫は、野良猫とも呼ばれていますが、ペットとして飼育されている猫と同じ猫です。彼らは通常私たちに社会的になじんでいないため、飼育されていません。地域猫は私たちの近くの屋外で生活しています。もともと猫は歴史のほとんどの期間、人と一緒に屋外で生きてきました。
今日ではペット猫の多くは屋内で飼育されていますが、屋外にだけ住んでいる所有者のいない猫も多数存在すると推定されます。彼らは餌が十分にある環境下では、コロニーと呼ばれるグループで住んでいて、そのコロニーのメンバーと強い社会的絆を持っています。餌の量が少ないと1匹で生き延びようとして個別行動をとります。
地域猫がひもじい思いをしないように食餌の援助をする場合も、ルールを守らないと猫の数を増やすことになり、愛されるべきはずの地域猫は近隣の住人から嫌われる存在になってしまいます。
TNRはtrap(つかまえて)-neuter(不妊手術を行い)-return(もとのところに戻す)の頭文字をとって名付けられている活動です。これは地域猫の集団を安定化させるための効果的で人道的な唯一の方法です。猫は人道的に捕獲され、動物病院で衛生的に不妊手術を実施され(場合によってはワクチン接種され)ます。
その後、もし捕獲される猫が若かったり、社会化するに十分な温厚な猫であれば、愛情のある家庭に里子に出されます。健康な大人の猫も、ボランティアによって継続的なケアを提供している施設でしばらく飼育していくと、十分社会化できることがあり、こうした猫も譲渡会を通じて里親さんに巡り会うことができます。
保護されることがストレスになるほど今の生活を謳歌している地域猫は耳の先端を桜の花びら型にカットされた「さくら猫」になり、またもとの住処に帰って行きます。「さくら猫」にするのは、すでに不妊手術を行った印です。ボランティアさんによって地域猫のメモリーがされていないときや、別の場所で暮らすことになった場合も、「さくら」印があると二度目の手術を受けることがありません。真の野良猫は社会化するのも難しく、飼育が可能になるわけではないので、彼らにTNRを行うのが一番良い方法です。
TNRはメス猫だけでなく、オス猫にも実施し、コロニーの安定化をはかります。TNR活動が働くと、これ以上子猫が増えることはありませんが、効果はそれだけではありません。ホルモンに関連づけられたなわばり戦いなど、不要な行動と猫のストレスがなくなります。発情期の騒がしい鳴き声、けんか等の騒動が消失するわけです。そして猫の生活と健康は改善され、地域の猫人口が安定化し、時間の経過とともに減少します。
TNR活動は、遊びに訪れる地域猫にとってこの地域が魅力的なままで、そして近所の住民ともうまくやっていくのに役立ちます。
トラップを仕掛ける予定日をお知らせください。捕獲器は何もない状態での重さをあらかじめ計っておいてください。最大100g刻み、できれば50g刻みのはかりでお願いできると麻酔をかけられる猫にとって安全度が増します。捕獲にはできるだけ重さの関与しない食器を使用してください。しっかりした重さのあるステンレス食器を使用する場合は、食器の重さもお知らせください。中にタオルや板などを敷く必要はありませんが、捕獲器の中に入れる場合は、入れた物の重さも必ず測定しておいてください。
猫が興奮しないよう、目隠し用の大きな布をご用意ください。布をかけた状態で病院にお連れください。麻酔覚醒後、捕獲器ではなく、大きめのケージに入れて休養をとらせたいので、身体を伸ばして寝られる位の大きさのケージの用意もお願いします。病院に用意もありますが、数に限りがあります。
術後、里子に出す予定かどうか、耳の目印を作る必要性についてお知らせください。
術後は十分温度管理された部屋で過ごし、しっかり覚醒するまで病院でお預かりします。お迎えは猫の入ったケージと空の捕獲器をお持ち帰りください。
外部寄生虫がいる場合は駆除薬を使います。
また、術後は抗菌薬等を投与する必要はありません。
捕獲器や大きめのゲージの持ち合わせがない場合、貸し出しも行っています。お気軽にお伝えください。
生まれて間もない小さな子猫を保護したときヒントになることを紹介しておきます。でもあなたが最高の努力を施しても、赤ちゃんは生き残ることができない場合もあるということを知っておいてください。それから、こうして最高の介護を施してくださるあなた自身を誇りに思ってください。
動物病院に駆け込むといろいろなアドバイスを受けることができます。経験豊富なスタッフが食事(ミルクをボトルで与えるところから、離乳食まで)や育児環境について、現在の日齢にあうように伝えます。
低温は子猫を簡単に死に導きます。汚れがあれば局所だけ洗い、すぐにしっかり乾かします。ペットボトルにお湯を入れて湯たんぽ代わりにしたり、保温マットのようなものがあればそれで暖を取ります。
子猫を見るとまず牛乳、という公式ができあがっているようですが、牛乳は子猫に下痢を起こさせます。下痢は低体温症、栄養不良を招き、健康な生育を大きく妨げる原因です。ペットショップで子猫用のリキッドミルクを求めてください。ほ乳瓶を使いますが、乳首の穴は猫の日齢にあわせてカットします。人肌に温めて与えます。日齢により哺乳間隔は3時間ごとに行わなければならない場合があります。ミルクは冷蔵庫で保管し、哺乳のたびに温め、飲み残しは廃棄します。全て衛生的に行います。ほ乳瓶から吸引できない場合はチューブ栄養という方法をとります。
自力で排泄ができない子猫は排泄口を刺激し、排泄を補助します。うまく出せない場合は処置を施す必要があります。4週齢すぎから浅いトレーと細かい猫砂を使い、トイレトレーニングを始めます。
身体にノミやハジラミなどの寄生虫を発見した場合は駆虫します。また早期に検便をし、回虫(やそのほかの内部寄生虫)の駆虫を行います。
保護した子猫の目がつぶれているとか、目やにで顔が汚れているような場合はウィルス感染(上部気道炎)を発症している可能性があります。感染症は無視されるべきではありません。早期に治療する必要があります。
月齢 | おおよその体重 |
1日(生まれてすぐ) | 100g前後 |
それから4週齢まで | 1日10gくらいずつ増加する |
1か月齢 | 400g~500g |
2か月齢 | 500g~1000g |
3か月齢 | 1.0kg~1.5kg |
4か月齢 | 1.5kg~2.0kg |
日齢 | 1回量(ml) | 1日量(ml) | 頻度(○時間ごと) |
1~10日 | 5~8ml | 40~80ml | 2~3時間おき |
11~20日 | 8~12ml | 60~80ml | 3~4時間おき |
21~30日 | 10~20ml | 80~100ml | 4~6時間おき |
日齢 | 様子 |
1日目 | 這いまわるだけ |
3日目 | へその緒が取れる |
7日目 | 目が開く 耳道が開く よちよち歩きをする |
14日目 | 目が見え始める |
21日目 | 目の色がキトンブルーから本来の色に変わる 自力排泄できるようになる |
28日目 | 聴力がしっかりする 体温調節ができるようになる |
週齢・月齢 | 門歯(前歯) | 犬歯(糸切り歯) | 奥歯 |
2週齢 | 2本生え始める | ||
3週齢 | 4本目 | ||
1か月齢 | 6本目 | 生え始める | 出始める |
1.5か月齢 | さらに出る | ||
2か月齢 | そろう |
月齢 | 門歯(前歯) | 犬歯(糸切り歯) | 奥歯 |
3.5か月齢 | 1組くらい | ||
4か月齢 | 2組くらい | 出始める | |
4.5か月齢 | ほぼ完了 | さらに生える | 生える |
5か月齢 | 完了 | さらに生えてくる | |
6か月齢 | すべての歯が生え変わる |