猫ではウィルスや細菌感染に伴って鼻がぐずぐずしたり目がぐちゃぐちゃしたりすることがあります。
猫風邪とか猫のインフルエンザだと思われることもあるでしょうが、鼻腔の腫瘍や真菌(カビ)の感染が原因で鼻づまりが発生していることがあります。鼻に問題があった猫の26%が慢性鼻炎ですが、リンパ腫などの腫瘍の割合はそれより多く56%にも上ります。
鼻がぐずぐずしていて治らない猫では、鼻づまりなどによる呼吸音や、鼻汁やくしゃみで分泌物が飛び散ることが気になると思いますが、左右の目の向きが異なっていたり、目頭から膜がでて目に被さっていたり、片目が開かない、逆にまぶたが閉じないなど、顔全体の表情がこれまでと変わってきている場合があるかもしれません。そしてこれらの変化が早いときには腫瘍を疑わなくてはいけません。
鼻の中(鼻腔)の腫瘍を疑うときは鼻の奥に細いストローのようなものを入れ組織の一部を採って調べます。じっと我慢していてはくれませんから全身麻酔が必要です。そのまま頭部を固定してX線撮影も行います。(高次医療施設では、そのままCTなどの画像診断も可能です。)
採材した組織は表面をスタンプして病院で染色し、細胞の検査を実施し、塊は病理学的な検査に回します。(外部委託して病理の専門医に診てもらいます。)
もし鼻のぐずぐずの原因が腫瘍だと分かったら、抗がん剤による治療を行うのが一般的です。腫瘍の種類によっては放射線治療を併用するのが最大級の治療ですが、一部の機関でしか行えない治療です。
慢性鼻炎と間違えやすい鼻腔内の腫瘍は様子を見ているとどんどん進行していってしまいます。「まさか!」も意識してみてください。