処方食は治療を目的として原材料を選び栄養成分をきっちりと調整してあるフードです。栄養組成はその病気に特有の事象を改善できるように作られています。そのため別の病態の犬や猫に食べさせると良くないことがあります。診察を受けずにネットや量販店で購入するのは間違っています。本来は販売してはいけないことになっている商品なのですが困ったことに流通しています。また本来的には処方されるもので、飼い主さんが選択して購入するものではありません。あやまった使い方をされた犬や猫に被害が生じるということを認識してください。
病態が変化しているのに気づかないまま同じ食事を与え続けていて体調を悪くさせてしまった犬や猫を診察した経験は、どこの動物病院の獣医師も持っています。「獣医師の推薦商品」ということに安心しきって同じ処方食を処方なしに購入し続けている場合が最も多く、「少し違うものも味は変わって嗜好性が高まるかもしれない」と、まるで柔軟剤の香りの種類を変えるくらいの感覚で気安く変更している場合も見受けられます。処方には有効期間があることをご承知いただき、少なくとも2か月に1回のウェルネス来院で食事の再確認をいたしましょう。
良く承るご質問に「同居の別の犬や猫に同じものを与えても良いか」というものがあります。全く同じ病気であれば大丈夫ですが、そういったケースはまれです。食事のときは別の部屋を用意したりケージに入れるなどして、該当した疾患の動物にだけ与えるようにしてください。病気の犬猫がしっかり食事を食べられないと、病気の悪化を防いだり治したりという処方食本来の目的を果たすことができなくなってしまいます。
異なる2つ異常の病気があるとき、いくつかの処方食を混ぜて与えるのは好ましいことではありません。それぞれの食事の特性を壊すことになります。優先されるべき処方食を推薦しています。勝手にブレンドしないでください。
処方食を食べている間はおやつにも制限があります。処方食中のおやつは別にあります。ご相談ください。
「今のからだに最適なフード」は診察を通してしかわかりません。健康診断時に食事の見直しも、して行きましょう。