ひとでは「乳がん」と言われている乳腺にできる腫瘍を犬や猫では「乳腺腫瘍」と言っています。乳腺腫瘍には良性の腫瘍と悪性の腫瘍があり、犬の場合はその割合はだいたい50%ずつですが、猫にできる乳腺腫瘍の80%以上は悪性腫瘍です。
乳腺腫瘍の発生はホルモンと強く関連しているため、避妊手術をしてあるかどうか、いつ避妊手術を受けたのかによって発生率が変わってきます。生後6か月未満で避妊手術をすると91%、7か月から1歳までなら86%、その後2歳までなら11%乳がんの発生を低下させることが可能です。2歳を過ぎてからの避妊手術では未避妊の場合の発生率と変わりがありません。この数字からは、できれば1歳までに避妊手術をしておくことが乳腺腫瘍の予防として望ましいことが分かります。
残念なことに予防できる期間が過ぎてしまったという場合でも、早期に発見すれば完治の可能性はあるのでぜひ小さなうちに見つけてください。猫の乳頭は左右4つずつあります。乳頭の周りをやさしくつまむようにして皮膚の下に小さなビーズや豆粒のようなものがないかどうか確かめてください。乳頭から次の乳頭までの皮膚は上からそっと指の腹でなでながら進んで行きます。毛があるのでわかりにくいかもしれませんが、1か月に1回、猫の機嫌の良いときにおなかを上に抱っこしてマッサージするように確かめてください。1日に1乳頭エリアが精一杯だとしても、大丈夫。翌日にはまたもう一つの場所を探し出すことができます。
探し方、ふれ方が分からないときは、乳腺腫瘍発見まくらを待合室に展示してありますので、スタッフにお声がけください。小さな塊が見つかるまで触ってください。枕は途中で怒り出さないので安心して触れます。