猫の関節炎の症状は、犬と違っています。猫はじっとして動かないのです。沈黙の症状を発見するのは難しく、年のせいだと思われてしまうことが多く残念です。
寝ている時間が増えること、ジャンプをしなくなることのほか、爪研ぎをしなくなる、遊ばなくなる、毛繕いをしなくなるなど、これまで「○○をする」のが普通の猫でしたが「○○をしない」猫になります。毛繕いができない猫の被毛はバサバサですし、爪研ぎをしない猫の爪は平らに伸びて丸まり、肉球に刺さりそうになっています。痛みからあちこちを触って確認しようとしても嫌がるかもしれません。警戒心が強くなり、触れると怒ってきます。睡眠時間に変化があるのは犬と同じです。
慢性疼痛はストレスホルモンにより免疫力を低下させますし、猫の老化も加速させてしまいます。
治療は犬と同じで、複合的なものです。体重管理や環境改善、内服薬の鎮痛薬と抗炎症成分や関節成分のサプリメントの投与、そしてリハビリです。
この中で特に重要視しているのは環境整備です。立体空間を移動する、高いところ好きなのが猫なので、スロープでお気に入りの場所まで無理なくアクセスできるようにしてやるのが猫の生活の質を落とさないことになるでしょう。スロープも滑りにくい素材を考えてください。また寝返りを打っても高所から落ちないように縁を作ってやりましょう。階段には一段ずつ滑り止めのマットを貼り付けます。食器は低い台の上に載せて猫がかがみ込まなくても食べられるようにします。噴水型の給水器は飲む面がすでに高くなっていて高齢猫に向きです。寝場所が暖かくなるようにペットヒーターも使ってください。猫の代わりに爪や被毛の手入れをしてやりましょう。排泄口周りの毛は長毛種であれば短くカットしてしまいましょう。
高所に乗ることもままならなくなった段階では、部屋をワンルーム化していきます。猫の生活に必要なトイレや食器、寝場所などを近くにまとめてやります。床も滑らないようにカーペットを敷いてやります。階段へアクセスできないように防護柵を付けます。