家族にも周りの人にも安心なペットに育てるとたくさんの愛情を注いでもらえるのでペットにとっても幸せです。
安心なペットというのは、人に対して乱暴になったり危害を加えることがないという行動学上の安全と、ペットから病気をうつされることがないという衛生面での安心という二つの側面があります。
行動上の安心はしっかりしたしつけにより叶えられます。犬がいつも元気で落ち着きがなく飛びついてきてしまうという場合(わたしたちはハイパーアクティブと言っています)、たいていは運動不足です。自分の気持ちの表現をどう行動していいのか分からず、混乱した恐怖から噛みついてしまう犬もいます。犬は漠然とした不安を抱えたときに思わぬ行動に出てしまいます。十分な愛情でいろいろな経験をさせてあげてください。社会化というしつけです。しつけでうまくいかない場合は行動療法を行います。しつけだけに比べると、薬物療法などの獣医学的な関与がある分、治療は成功しやすいです。
衛生面での安心は、人獣共通感染症から人を守るという予防対策になります。狂犬病の予防注射は最初の予防です。そのほか混合ワクチンに入っているレプトスピラ症も共通感染症ですので、ワクチン接種でも人を守ることができます。ノミヤマダニの予防薬を1か月に1回投与してもらっていますが、マダニを介して人にも感染するSFTS感染症も予防しています。
ペットに触れた後や、排泄物を処理したあとの手洗いは、細菌や皮膚糸状菌(真菌)、回虫などの感染寄生虫の予防に対する基本的な予防事項です。正しい衛生週間を身につけ、うちのわんこ、うちのにゃんこを安心なペットでいさせてあげてください。10月15日は「世界手洗いの日」です。新型コロナウイルス感染症の予防の基本も石鹸で手洗いです。アルコールでささっと拭いて済ませるより、15秒から20秒の、石鹸で丁寧に手洗いがおすすめです。