眠りの深い高齢犬は、身体にハエがついても気づかずに寝ているため、ハエを追い払うことができません。
じめっとしていてたんぱく質が豊富な体液を何より好み、やってきます。
ちょっとニオイのする湿った部分をどこからともなく察知するのです。
ハエの好む場所は、おもらしするようになった排尿部周囲、暑くてハァハァしたときに流れ出るヨダレで濡れたあごの下から胸前部分、急性湿疹ができてじとじとになったおなか、知らないうちに破裂していた腫瘤物から出てきた漿液で濡れていた皮膚などで、ここに卵を産み付けていきます。
屋外で暮らす犬は抱かれることも少ないため、背中の病変には気づいてもらえていても、地面に向かう側の皮膚にできた異変に気づいてもらえることが少なく、発見したときは驚くほど広がっていることも多いです。
ハエウジ症はよその犬におこることではなく、うちの犬にも起こり得ることです。
寝ている時間が増えた、散歩する必要もないくらい衰えている、近づくとなんとなく特異なニオイがする、ちょっと大きめ、身体が重めの屋外犬こそ、毛をといたり、汚れやすい部分の毛を刈り込んだりして皮膚を清潔に保つことが必要です。
高齢になったご家族が高齢になった犬を飼育されている場合は、日常的な管理が難しくなっている可能性があります。もし、お盆休みにご実家に帰省されて、愛犬の様子が若いころと違っていたら、高齢のご家族に代わってお手入れをしてもらえるとありがたいと思います。
また、異常を発見した場合も、恥ずかしがらずに診察にお越しください。このような事例は毎年必ず経験しております。決して珍しいことではありません。