心臓の弁に問題を抱えて生まれてくる猫がいます。犬でもあります。
房室弁異形成としても知られる心臓弁の奇形は、心房と心室の間にある房室弁が完全に閉じないため、本来は一方通行で流れるはずの血液が逆流します。心臓は筋肉でできていて、心房中隔(と心室中隔)、房室弁により4つの部屋に分かれています。血液の逆流が発生すると、これを送り出すのにより懸命に働かなくてはいけませんが、最終的には部屋のサイズが大きくなる(拡張)か、壁が厚くなり(肥大)、送り出す血液が大幅に減少し、循環不良が発生したり、滞りがちな血液から血栓が形成され、命が脅かされる可能性があります。
大動脈弁は左心室から大動脈へと流れ出る血液を制御している心臓弁で、大動脈弁狭窄症と呼ばれる先天性の欠陥があると、(障害の重症度により)生後数週から数か月で症状が出現してしまいます。突然意識を失ったり(失神)、呼吸困難やうっ血性心不全が発生します。
これらの心臓奇形の発見の糸口になるのは心雑音です。幼少期には病気の徴候以外の心雑音もあるため「そのうちになくなるだろう」とする傾向も見られますが、猫の成長に伴う経過を注意深く観察していく必要があります。
治療は合併症を治療することになり、弁の置換術や形成術などの心臓切開手術は難易度も高く予後も芳しくはないので通常は試みられません。生活の質を保つため運動を控え低ナトリウム食にします。一部のキャットフードは(健康な猫には問題がない程度ですが)比較的塩分の高いつくりになっています。早期に異常を見つけておかないと知らずに高ナトリウム食を食べてしまうかもしれません。注意してください。