猫は病気を隠すのが得意です。注意深く観察しているつもりでも、見逃してしまう可能性があります。
高齢猫では慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症などに目が向けられがちですが、いくつかの病気を併発していることも有り、ひとつの病気のために別の病気の症状が隠されてしまうこともあります。高齢猫の健康診断を少なくとも6か月に1回は行うようおすすめしている理由はここにあります。
健康診断では、血液検査の他に血圧測定や尿検査、画像検査を加えること、また血液検査でもオプション項目として、心臓病や甲状腺のための項目も追加することを検討してください。これで、高齢猫に多発するほとんどの疾患(慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、炎症性腸疾患、腹部腫瘍、心筋症など)をカバーすることができます。
慢性的な嘔吐や軟便は、1日に数回激しく発生するわけではなく、また毎日繰り返されることもなく、食事も摂れていると、通院を嫌がる猫では診察が遅れてしまうことが多いです。ただ、猫では消化器系リンパ腫の発生が多いため診察が遅れると手遅れにもなりかねません。
さて、診断されたら、水分補給、栄養管理を中心にそれぞれの病気に対する治療を行うわけですが、何よりも病気を患っている猫自身の快適さを考慮してください。もちろん、その猫をお世話する飼い主さんご家族も含めた双方の生活の質を最大限に高めることにも特別な注意を払いたいと思います。