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猫の慢性腸症

慢性腸炎は、原因を1つに絞り込むことができない胃腸疾患です。胃、小腸、そして大腸にまで炎症を起こします。

診断も治療もやっかいな病気で、細菌に対する過敏症、食物に対するアレルギー、遺伝的な要因などが発症に関与しています。
下痢と体重減少、嘔吐(頻度は悪化するに従って増してきます)、おなら、腹痛、腹鳴、倦怠感などの症状があります。慢性経過を取っています。
血液検査や画像診断などの日常検査だけでは確定診断に導くことができません。全身麻酔下で内視鏡検査を行い、このときに小さなクリップで消化管の粘膜を採取し、その組織生検から判断します。
こまったことに、炎症が続くことで細胞が「がん化」することがあります。低悪性度の腸リンパ腫と炎症性腸疾患は採取した組織像で両方の状態が混在していることもあるほど近しい関係にあります。
炎症性腸疾患は完治させるのはできませんが、できるだけ良い状態で管理することを目標に治療を行います。それには体重を下げないように維持すること、消化器症状を緩和させること、免疫系の反応を低下させることが当てはまります。食事を選び、免疫を抑制する薬を使い、抗菌薬を併用するのが治療の3本柱です。さらに栄養素の欠乏を補うためにコバラミンというビタミンを非経口的に投与します。
食事には低アレルギー食または新奇タンパク食が第一選択になりますが、そのほかの消化器系処方食を選択することもあります。最低でも2週間は同じフードで反応を観察します。抗菌薬とステロイド薬もおそらく中止は難しいでしょう。
治療に反応した猫の予後は良好です。

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