くしゃみ、鼻水。犬にも猫にもよく見られる症状です。きっと「鼻炎」。だけどもっとこわい病気が潜んでいることもあります。
猫がくしゃみをすると「ウィルス性鼻気管炎」を疑いたくなります。子猫で拾ったときに目やにや鼻汁でお顔がくちゃくちゃになっていた猫ならなおさらそうでしょう。しかし屋内飼育になり毎年ワクチン接種をしている猫が数年経過して高齢になって、昔のように鼻がぐずぐずし始めるのは単純な鼻炎ではないかもしれません。外気温が下がってくると慢性化した上気道感染症の症状が再発することもありますが、抗菌薬で治らない場合は腫瘍のことも考慮に入れて細胞の検査が必要になります。
小型の室内犬では歯の病気からくしゃみが出ることがあります。口から鼻に抜けて「ろう管」ができているとくしゃみと一緒に食べカスが鼻から出ることもあります。このような場合は歯科治療で症状が収束します。歯の治療に踏み切りましょう。
猟犬や草むらを盛んに歩き回るのが好きな犬では鼻の中に「ノギ植物」が入り込んで刺激していることがあります。大きなくしゃみをしたときに異物が飛び出てくれると大助かりなのですが、粘膜面に刺さっていると出てきません。疑いがあるときは鼻鏡や細い内視鏡などでのぞき込み、異物を取り出すとじきにすっきりしてきます。
そのほか、煙やエアゾールなど刺激性のものを吸い込んだときにもくしゃみは起こります。意外とデリケートなのです。くしゃみはそれ自体が鼻の粘膜を損傷する原因にもなります。初期治療になかなか反応が見られない場合は、麻酔をかけての検査や処置に踏み切ることも大切です。