「猫のしっぽの、付け根近くの背中側がべたべたしていて、拭いてもきれいに取れないんです」「拭いてるうちについ力が入っちゃったせいか、毛が抜けて地肌が見えるようになってきちゃった!」
これは「猫の尾腺過形成」によるものです。簡単に「しっぽのニキビ」と紹介することもあります。
家族は気にしている割に、猫は無頓着です。痛いとか痒いとかいう症状はありません。そしてしっぽの該当する部分以外の皮膚はきわめてきれいで普通です。
未去勢の雄猫に多いのですが、去勢手術だけでは治らないので、局所療法が必要です。皮脂は細菌の栄養になりますので、不衛生にしていると皮膚に常在する細菌が増殖して感染を起こすことがあります。このときは猫は痛みが出て触られるのを嫌がるようになります。
痛みを伴わない段階なら家庭でのケアできれいになります。皮膚脂漏症(しろうしょう)に使われるシャンプー(動物の薬用シャンプーです)で洗ったり、脂を溶かす作用があるアルコールを含むウェットティシューできれいに拭くなどして皮膚を清潔にします。清拭はついゴシゴシ、指に力が入ってしまいがちですが、そうでなくてもしっぽは猫にとって敏感で触られたくない場所であることを意識してください。一度にこすり取るのではなく、こまめに何度でもやって徐々にきれいにしていくようにします。
そのほか、狭い空間で飼育しているのも好ましくありません。自由に遊べる広さを提供し、存分にグルーミングできる環境を用意してやってください。