高齢になった犬の目が白内障で白く濁り、視力が衰えてくるのは誰しもご存知のようです。白内障の治療は外科治療が基本ですが、高齢のために手術にはためらいがあるご家族がほとんどです。
しかし白内障はそのままにしておくと別の目の病気を併発することが多く、「白くなって⇒見えにくくなって⇒しまいには見えなくなってしまう」という経過のほかに、途中で「目が痛くなる」場合があります。このときは併発した眼科疾患を点眼薬で内科的な治療をしなければいけません。
白内障は進行を抑える目的で使う点眼薬やサプリメントが知られています。それなりに効果もあります。高齢動物にみられる白内障は、若年性の白内障や糖尿病性の白内障と違って進行がゆっくりです。点眼薬で数か月から数年という単位で進行を抑えられます。
「目薬は差したことがないし、うちの子は難しいかもしれない」と、治療にブレーキをかけてしまわれる飼い主さんもいらっしゃいますが、積極的に点眼スキルを磨き、治療に参加してほしいです。点眼はある程度は要領で、また半分は動物の慣れです。目薬を差すときの犬の持ち方も含め、上手な点眼法についてお伝えいたします。ぜひ点眼で進行を抑えましょう。
目は左右に一つずつあるのですが、今使っている目の代替えはなく、一度失明するともうそれっきりになってしまいます。大切にしてやってください。