去勢手術を行っていないオス犬では、中年齢から高年齢になったときにオシッコの勢いが悪くなることがあります。
ジャーっと出る尿の太さが以前よりも細めになり、排尿時間が長くなります。また尿切れも悪くなり、排尿の最後でポタポタとしたたり落ちるようなことも出てきます。尿に点々と血が混じっていたり、尿全体が薄赤く見えたりすることもあります。
これらは一般に膀胱や尿道の病気で見られますが、前立腺に問題があるときもこのような症状が発生します。
前立腺関連の異常は血液検査で発見することができません。ワクチンのときの健康診断で「異常なし」と出たとしても安心はできません。それから外から身体を見ただけでは前立腺の大きさはわかりません。診察に来ていただく必要があります。
病院では直腸検査や超音波検査、尿検査、前立腺液の検査などで総合的に評価をしていきます。
最も考えられるのはいわゆる「前立腺肥大」で、これは性ホルモン由来の良性の過形成からくる病態です。前立腺の中で嚢胞(のうほう)ができて、これが複数だったり大きくなっていることもあります。
内科的にホルモン剤を投与すると改善されますが、一時的です。根本療法は去勢手術を行うことです。まれに「傍前立腺嚢胞」が大きくできてしまう場合があり、この場合は「前立腺縫縮術」も必要になります。高齢により手術ができないと判断される場合は内科的なコントロールがずっと必要です。ホルモン剤に替わり生薬系のお薬を処方します。